2022年7月、茅野市・立科町が合同で「レイクリゾート構想」記者発表会を実施。蓼科・白樺高原において「レイクリゾート」の概念を取り入れたまちづくりを行うことを発表した。
レイクリゾートとは、湖が持つ「穏やかさ」や「寛容さ」などの本質的な価値を活かし、一人ひとりが思い思いの時間を過ごせる場所であると説明。今後は茅野市・立科町が相互に協力し、蓼科・白樺高原が有する蓼科湖・白樺湖・女神湖をつなげ、日本のレイクリゾートの象徴的エリアとなることを目指す。
各行政の背景
茅野市は一般社団法人ちの観光まちづくり推進機構、通称「ちのDMO」を設立し、「レイクリゾートの創生とマウンテンリゾートの再生による 長期滞在型高原リゾートへの再構築」をテーマに市内の各観光地の結束を呼びかけている。同時にDMOの「中期5ヵ年計画」を策定しており、経営理念には「訪れる人、迎え入れる人の人生を豊かにする地域力総合産業の構築」を掲げ、 観光客・居住者がどちらも居心地の良い地域づくりができるよう連携を進めている。
立科町は関係人口の創出・増加を目的に、 観光地・別荘地としての再生を目指す。「これからの時代の別荘地をつくる」ことをコンセプトにした「レイクヴィレッジ」を掲げ、別荘地を余暇だけでなく仕事や日常も含む「暮らす場所」の拠点としてより幅広い層が利用していくという考えを提示。働く環境の整備を重視し、新しい旅と働き方を誘致する取り組みとして「立科ワークトリップ」を推進。新たな別荘利用客や多拠点居住者にとっても過ごしやすい地域づくりをすることで地域振興につなげていくことを目指している。
蓼科湖・白樺湖・女神湖の背景
この3つの湖は、農業用のため池として人工的に作られ現在も農業用水として使われている。観光・別荘の開発中心地としても重要な資源となり、日本国内で軽井沢に次いで 2番目に別荘が多いエリアに。現在は別荘利用者の高齢化や若年層認知低下などの課題も出てきたため、市の観光拠点再生計画と民間企業・団体が連携して「レイクリゾート」の概念まちづくりに落とし込み、リブランディングを進めていく考え。
レイクリゾートの概念
「湖」が持つ穏やかさや寛容さは、「誰もがそれぞれの居心地の良さを見つけられる余白」に繋がり、それこそがレイクリゾートの価値であり本質であると捉える。
具体的なライフスタイルとしての側面では、例えば北欧等の湖が身近にある国々では湖が行き先の選択肢として定着している。週末にはカヌーを持って湖に出かけたり、桟橋でただのんびりしたり、 人々の日常の中に湖畔での時間が自然と存在している。そういった国では例えば、湖畔の資産価値は海岸の資産価値を優に超えているが一方で、日本にはまだそのような概念は定着していないと言える。
当地域ではそうした「湖が共にある時間」を実証実験する場として、幾つかのイベントを開催した。その結果来場客からは「湖って何もなくてもほっとする」「ただ座っていても置いてけぼりにならない場所」などの声が多く集まった。こうした実際の声を通じて、湖の本質的な価値や湖が自然資本として大きな役割を持つことを、地域全体で改めて再認識した。
生き方や働き方への価値観が大きく変わり選択肢も多様になった現代人にとって、「レイクリゾート」が人生の時間を過ごす選択肢のひとつにあってほしい。
具体の取り組み
上記概念を考えたときに、「非日常的 / レジャー / 遊ぶ場所」だけでなく、働く時間や何もしない時間など「日常的な時間」を過ごせる場所があることが、 「レイクリゾートの実現」であると言える。
観光・別荘・居住それぞれの観点で「ここで過ごしたい」と思える場になるよう、 レイクリゾートの価値観を取り入れた場の整備を各エリアで強化する。
※各エリアの取組進捗を取りまとめるプラットフォームが本webサイトの役割の一環である。
<記者発表会概要>
「レイクリゾート構想」茅野市・立科町 合同記者発表会
2022年7月6日
<登壇者>
茅野市長:今井 敦
立科町長:両角 正芳
蓼科湖代表:矢崎 公二(ちの観光まちづくり推進機構 理事 / 蓼科観光協会会長代行 / 帰ってきた蓼科株式会社)
白樺湖代表:矢島 義拡(白樺湖観光まちづくり協議会理事 / 池の平ホテル代表取締役社長)
女神湖代表:田村 淳一(信州たてしな観光協会会長)